Laxerop屏風

Laxerop(ラージェロップ )技術の最初のアプローチは、和紙への画像形成(印刷)でした。
その目的は、日本古来の襖や屏風には、「鳥の子紙」が用いられている事を知ったからでした。

一方、墨絵の風合い、彩度(色鮮やかさ)、画像耐久性、そして、環境に優しい印刷方法(画像形成方法)電子写真方式に勝るものは無い、、、。
と、確信しました。
これは、自分自身が、電子写真技術に長年携わっていたからも有りますが、様々な記録技術(画像形成技術・印刷技術)を研究し、冷静に分析(SWOT)した結果でも有ります。

初期は、どんな電子写真技術を用いるか?
また、既存技術では難しいので、どんな手法を考えるか? などの試行錯誤に、多くの時間を費やしました。
そのトライアンドエラーの中で、屏風に適した和紙への画像形成方法(印刷方法)を、偶然見つけた、、、と言うのが真実でした。
ただ、今、思い起こすと、それは、思いがけず「短い時間」であったと思いますし、幸運でした。

技術の詳細は別の機会にさせて頂き、ここでは、Laxerop屏風が単なるレプリカ、印刷物の一つではなく、
新技術と職人技の融合である「レプリカを超えたジャパンアート」として、ご体感頂きたい、、、と言う想いについて、書かせて頂きます。

横須賀 満昌寺様に所蔵されている「雲龍図2隻、松虎図1隻、山水図1隻」は、
幕末から明治時代にかけての狩野派の絵師 斉藤海信によるものです。
これは、横浜市指定文化財ですが、絵師と表具師による一つのプロジェクトとであったと、推察されます。

加えて、この高解像度デジタルアーカイブを行う際に、細部を確認しましても、その描写もとても感激するものがありました。
また、最初にアーカイブした雲龍図1隻においては、何度も修正を余儀なく行う羽目になり(これは、私自身の不徳によるものですが)、
データ補正や、Laxerop(ラージェロップ )印刷において、完成間近であっても、破棄せざるを得ない、、、判断をしました。

襖絵を描かれた当時の状況は、勿論存じ得ませんが、当時は、凄い気迫で作られた筈だと、、、。
自分は、芸術家でもありませんし、職人でも有りませんが、色が合わない、これは風合いが違う、位置が違う、、、などなど。

様々な難関は、多く有りますし、ノウハウも培ってきましたが、
最初の屏風制作における最大の難関は、1隻4曲、全60枚の鳥の子紙(正確には、新鳥の子紙)の色味を合わせた後に、位置合わせを行い断裁する事でした。
和紙は硬く、厚いですから、裁断するにも、アート用カッターでは難しく、日本古来の和包丁が必要でした

老舗の和紙屋さんからご紹介頂いた、表具屋さんご推薦の専用マット、そして、専用定規と和包丁を用いて、1曲15枚の和紙を4枚重ね合わせ、
足場を作り、体重を掛けて一気に断裁。
この和包丁と定規のセットでなければ、精密な断裁は無理です。

一度、刃を入れると、最後まで和包丁を止められない、、、。
しかも、それが少しでもズレると、印刷からやり直し、、、。
1曲で、6回行って1曲用の屏風片15枚がやっと出来上がる、、、。
勿論、汗は滴り落ちそうになりますが、それは防御します。

そして、、
出来上がった60枚の屏風片を、屏風に仕立てて頂く為に、老舗の屏風屋さんへ。

「本当に、Laxerop屏風を作る事が出来るのか???」
「これ位の出来で良いのでは無いか?」
「いや、これでは、まだ駄目だ」
「これでは、斉藤海信にも、申し訳ない、、、」

正直、そんな想いが巡る毎日でした。

確かに、大判のプリンターで印刷すれば簡単です。
しかし、斉藤海信の襖絵の再現とは何か?
一から作り上げる事の素晴らしさ、斉藤海信の心意気に想いを馳せる、、、。

「このLaxerop屏風を見て頂く事で、感動を得る事が出来れば、それが本望。」
そう思う様になりました。

横幅900mm以上、長さ1,200mm以上の、高画質なアート用のレーザープリンターが世の中に見当たらない、、、
と言うのが、分割の貼り合わせの当初の発想であったのは否めませんが、
襖自体が貼り合わせで有り、その上に描かれた襖絵の風合いと、その職人技による妙味、
そして、その風合いは、日本古来の職人の心意気も体現した屏風であると、自信を持って言えると思います。

最初のLaxerop屏風は、こうして出来上がりました。
現在は、すべての工程を見直し改良も加え、より安定した屏風が出来る様になりました。

「レプリカを超えたジャパンアート」として、Laxerop(ラージェロップ )屏風を、是非、ご体感頂きたいと思います。

Laxerop屏風製作の様子

Laxerop屏風